大阪地方裁判所 昭和26年(タ)8号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(事實と判斷)
本件は被告の不貞行爲を理由に、原被告の離婚と、精神的苦痛を蒙つたことによる慰藉料の支拂を求めるものである。判決は、原被告は昭和十六年婚姻し、その間に二児を儲けたものであるが、被告(夫)は昭和八、九年頃以來某女と内縁関係にありその間に一児があるのを祕して原告(妻)と結婚したのであり、結婚後も某女との関係を絶たず更にその間に一児を儲け、昭和二十四年頃始めてこのことを知つた原告より詰問を受けても毫も反省の色がない事実を認定して原告の離婚請求を認容し、更に原告の受けた精神的苦痛に対する慰藉料の額につきつぎの通り判断した。
「原告は初婚で、大阪府立生野高等女学校を卒業後、家庭にあつて裁縫、生花、茶、家事等女としての一般敎養を修めており、被告も初婚であると信じていたこと、婚姻に際し五荷の荷物を持参したが、この荷物の大半は被告が家庭を顧みないため二児の出産費養育費その他生活費等に充てるために売却し、現在財産とみるべきものがなく、原告の弟妹等の世話になつているけれども、年令三十六才にして子供二人を抱え早急に自活の道を立てねばならない窮境にあること、一方被告は昭和二十四年十二月以後は一定の職業に就いておらず、被告名義の財産もないが、その居宅は被告の父の所有であつて、被告の父は他に貸家四軒を所有しており、その相続人は被告外三名であること、被告は関西大学を卒業しており、現在年令四十二才の働き盛りであることがそれぞれ認められる。
以上の事実に被告と某女との関係が既に早く原告と結婚以前からあつたのを秘して原告と結婚したものであること等を考え合せ、右慰藉料の額は金五十万円を以つて相当と認める。」